HITP 広島工業大学専門学校

LaTeX2e入門教室

目 次  2. 文書作成の概要 →

  1. 1. 導 入
    1. 1.1 LaTeX2e とは何ですか?
    2. 1.2 LaTeX2e で何ができるのですか?
    3. 1.3 LaTeX2e のインストール
      1. 1.3.1 インストールパッケージのダウンロード
      2. 1.3.2 インストールパッケージの解凍とディレクトリ配置
      3. 1.3.3 pTeX のインストール
      4. 1.3.4 Ghostscript のインストール
      5. 1.3.5 dviout for Windows のインストール
      6. 1.3.6 GSview のインストール
      7. 1.3.7 フォントの設定
      8. 1.3.8 動作確認

1. 導 入

1.1 LaTeX2e とは何ですか?

『LaTeX2e』とは,レスリー・ランポート(Leslie Lamport)によって開発されたテキストベースの組版処理システムです。

この文書では,『LaTeX2e』の初歩的な使い方を説明することを目的としています。従って,『LaTeX2e』の歴史的背景や開発状況などについて,ここでは言及しません。もっと詳しいことが知りたければ,ウィキペディアの「LaTeX」(http://ja.wikipedia.org/wiki/LaTeX)を参照してください。

1.2 LaTeX2e で何ができるのですか?

簡単に言えば,テキストエディタなどで作成した文書を最終的にはPDF形式に変換することができるソフトウェアです(正確には,変換には別のソフトウェアを使用しますが,一般的な最終出力はPDF形式のものが多数です)。

以下に,2つの出力例を示します。

数式の例 縦書きの例

このように複雑な数式や複雑な縦書きなども自在に作成することが可能となります。さらに,テキストベースなので,他の形式(例えば,HTML)への変換も容易にできるため文書の再利用も比較的簡単に行うことができます。

1.3 LaTeX2e のインストール

「LaTeX2e で何ができるのか?」,実際の所は,理解しがたい部分でしょう。そこで,まずはソフトウェアをインストールして,実際に使いながら学習する,ということになります。

LaTeX2e のインストールは結構ハードルが高いので注意が必要です。Windows へのインストールは,以下の手順に従って行います(Mac へのインストールは,Windows よりも簡単です。インターネットなどにも多くの資料がありますので,そちらを参考にしてください。)。

1.3.1 インストールパッケージのダウンロード

インストールに関する詳細な情報は,「LaTeX2e 美文書作成入門」の著者である奥村先生のサイトにあります。ここでは,その情報をもとにして,HITP 用にアレンジしたパッケージを使用します。

HITP 用にアレンジしたパッケージ(http://www.hitp.ac.jp/download/pTeX.zip)を,まずはダウンロードします。

1.3.2 インストールパッケージの解凍とディレクトリ配置

  1. ダウンロードした「pTeX.zip」をLhacaなどのツールを使って解凍します。
  2. 解凍されたフォルダの中に,「HITPtemp」と「pTeX」2つのフォルダがあることを確認してください。
  3. 「HITPtemp」と「pTeX」2つのフォルダを「C:¥」直下に配置します。必ず,この位置に配置してください。それ以外の場所に配置するとインストールに失敗することがあります。

1.3.3 pTeX のインストール

LaTeX2e を使って文書作成を行うようにしたい訳ですが,実際には,LaTeX2e 以外にもいくつかのソフトウェアをインストールしなければなりません。まずは,LaTeX2e 本体(角藤版と呼ばれているものの標準インストールにOTFパッケージ,UTFパッケージ,内部Unicode版pTeXを付加したものになっています。)のインストールを以下の手順に従って行います。

  1. Windowsの「コマンドプロンプト」を起動します。
  2. カレントディレクトリを「c:¥pTeX」に変更します。
    C:¥Documents and Setting¥user>cd c:¥pTeX
  3. インストールプログラムを起動します。
    C:¥pTeX>texinst2010 c:¥HITPtemp¥tar
  4. インストールが開始され,しばらくすると下のような画面が表示されてインストールが終了します。
  5. 次に環境変数の設定を行うために,「マイコンピュータ」を右クリックし,ポップアップメニューから「プロパティ」を選択します。
  6. 「システムのプロパティ」ウィンドウが表示されたならば,「詳細設定」タブを選択後,「環境変数」のボタンをクリックします。
  7. 環境変数「PATH」が存在しなければ,「ユーザ環境変数」の「新規」ボタンをクリックします。もし,環境変数「PATH」が存在する場合は,環境変数「PATH」を選択後,「編集」ボタンをクリックします。
  8. 新規の場合は,変数名に「PATH」を入力し,変数値に「C:¥pTeX¥bin;」を入力します。環境変数「PATH」が存在する場合は,変数値に「C:¥pTeX¥bin;」を追加します。正確に入力できたならば,最後に「OK」ボタンをクリックします。
  9. 環境変数ダイアログに戻るので,「OK」ボタンをクリックします。
  10. 「システムのプロパティ」ウィンドウに戻るので,「OK」ボタンをクリックします。

以上で,「pTeX」のインストールが終了します。最後に「コマンドプロンプト」を終了してください。

1.3.4 Ghostscript のインストール

「pTeX」のインストールが終了したならば,次にPostScript のインタープリタであるGhostscriptのインストールを行います。

  1. 「HITPtemp」フォルダ内に「install」フォルダがあります。その中の「gs707w32full」フォルダ内のインストールプログラム「setupgs.exe」を起動します。
  2. 最初のセットアップダイアログが表示されます。ここでは,インストール先フォルダを訪ねてきますが,初期設定のまま(インストール先フォルダを変更しないように注意してください。)「Install」ボタンをクリックします。
  3. インストールが開始されます。しばらくするとインストールが終了し,つぎのようなウィンドウが表示されますので,そのウィンドウを閉じます
  4. 次に環境変数の設定を行うために,「マイコンピュータ」を右クリックし,ポップアップメニューから「プロパティ」を選択します。
  5. 「システムのプロパティ」ウィンドウが表示されたならば,「詳細設定」タブを選択後,「環境変数」のボタンをクリックします。
  6. 環境変数「PATH」を選択後,「編集」ボタンをクリックします。
  7. 変数値に「C:¥gs¥gs7.07¥bin;C:¥gs¥gs7.07¥lib;」を追加します。正確に入力できたならば,最後に「OK」ボタンをクリックします。
  8. 環境変数ダイアログに戻るので,「OK」ボタンをクリックします。
  9. 「システムのプロパティ」ウィンドウに戻るので,「OK」ボタンをクリックします。

以上で「Ghostscript」のインストールは完了です。次回は、「dviout for Windows」のインストールについて説明します。

1.3.5 dviout for Windows のインストール

Windows環境で動作するTeX プレビューアをインストールします。

  1. 「HITPtemp」フォルダ内に「install」フォルダがあります。その中のインストールプログラム「tex318w.exe」を起動します。
  2. インストール先フォルダ指定ダイアログが表示されます。ここでは,インストール先フォルダを変更しないで,そのまま「Ok」ボタンをクリックします。
  3. 警告ダイアログが表示されますが,ここでは「はい」ボタンをクリックします。
  4. パラメータ設定ダイアログが表示されるので,プリンタに合わせた値を設定します。もし,プリンタが接続されていなかったり,よく分からなければ,「Resolution of font(dpi:)」に「600」,「Different dpi for printing」をチェックし,「1200」を設定します。「Paper size」は「A4」のままで良いと思います。設定が終了したならば,「Next」ボタンをクリックします。
  5. 次の環境設定ダイアログが表示されるので,「Guess」ボタンをクリックします。
  6. 環境設定確認ダイアログが表示されるので,「はい」ボタンをクリックします。
  7. 環境設定ダイアログの「TEXROOT」と「TEXPK」の項目が自動で設定されたならば,「Next」ボタンをクリックします。
  8. 次の環境設定ダイアログが表示されるので,「gen」ボタンをクリックします。
  9. 自動設定確認ダイアログが表示されるので,「はい」ボタンをクリックします。
  10. 環境設定ダイアログの「gen」の項目が設定されるので,次に「gsxt」ボタンをクリックします。
  11. 先程と同様に自動設定確認ダイアログが表示されるので,「はい」ボタンをクリックします。
  12. 環境設定ダイアログの「gsx」の項目が設定されるので,最後に「Finish」ボタンをクリックします。
  13. これまでと同様に環境変数の設定を行います。「マイコンピュータ」を右クリックし,ポップアップメニューから「プロパティ」を選択します。
  14. 「システムのプロパティ」ウィンドウが表示されたならば,「詳細設定」タブを選択後,「環境変数」のボタンをクリックします。
  15. 環境変数「PATH」を選択後,「編集」ボタンをクリックします。
  16. 変数値に「C:¥dviout;」を追加します。正確に入力できたならば,最後に「OK」ボタンをクリックします。
  17. 環境変数ダイアログに戻るので,「OK」ボタンをクリックします。
  18. 「システムのプロパティ」ウィンドウに戻るので,「OK」ボタンをクリックします。

以上で,「dviout for Windows」のインストールが終了します。次は,最後のソフトウェア「GSview」のインストール手順を説明します。

1.3.6 GSviewのインストール

最後にPostscriptをPDF変換するためのGSviewをインストールします。

  1. 「HITPtemp」フォルダ内に「install」フォルダがあります。その中のインストールプログラム「gsv49w32.exe」を起動します。
  2. セットアップ開始ダイアログが表示されるので,「Setup」ボタンをクリックします。
  3. 言語選択ダイアログが表示されるので,「English」ボタンをクリックします。
  4. インストール開始ダイアログが表示されるので,「Next」ボタンをクリックします。
  5. ライセンス確認ダイアログが表示されるので,「Next」ボタンをクリックします。
  6. インストールダイアログが表示されるので,最初の項目にチェックを入れて「Next」ボタンをクリックします。
  7. インストール先指定ダイアログが表示されるので,そのまま「Next」ボタンをクリックします。
  8. インストール先確認ダイアログが表示されるので,そのまま「Next」ボタンをクリックします。
  9. スタートメニュー設定ダイアログが表示されるので,そのまま「Finish」ボタンをクリックします。
  10. インストールが開始され,しばらくするとインストール完了ダイアログが表示されるので,最後に「Exit」ボタンをクリックします。
  11. インストール先フォルダが表示されるので,その中のプログラム「GSview 4.9」を起動します。
  12. レジストレーションダイアログが表示されるので,「Ok」ボタンをクリックします。
  13. プログラムが起動したならば,メニューバー「Options」ー「Advanced Configure...」を選択します。
  14. 設定ダイアログが表示されるので,「Ghostscript Options:」の最後に「-dWINKANJI」を追加してから「Ok」ボタンをクリックします。
  15. 最後にプログラムを終了します。

1.3.7 フォントの設定

ここまでの手順で必要なソフトウェアのインストールは終了しました。しかし,このままではWindowsの和文フォントを利用することができません。そこで,フォントの設定ファイルを修正します。修正には,メモ帳などのエディタを使用します。

  1. 最初に適当なエディタ(メモ帳など)を起動します。
  2. 「C¥pTeX¥share¥texmf¥fonts¥map¥dvipdfmx¥base」フォルダ中のファイル「cid-x.map」を開きます。
  3. 105行目あたりから次の部分を探します。
    %
    % Ryumin and GothicBBB found in PostScript printers:
    %
    rml   H Ryumin-Light
    gbm   H GothicBBB-Medium
    rmlv  V Ryumin-Light
    gbmv  V GothicBBB-Medium
    
  4. rmlからgbmvで始まる行の先頭に「%」を追加します。
    %
    % Ryumin and GothicBBB found in PostScript printers:
    %
    %rml   H Ryumin-Light
    %gbm   H GothicBBB-Medium
    %rmlv  V Ryumin-Light
    %gbmv  V GothicBBB-Medium
    
  5. 次に,以下の4行を追加します。
    %
    % Ryumin and GothicBBB found in PostScript printers:
    %
    %rml   H Ryumin-Light
    %gbm   H GothicBBB-Medium
    %rmlv  V Ryumin-Light
    %gbmv  V GothicBBB-Medium
    
    rml   H :0:msmincho.ttc
    gbm   H :0:msgothic.ttc
    rmlV  V :0:msmincho.ttc
    gbmV  V :0:msgothic.ttc
    
  6. 173行目あたりの次の部分を探します。
    %
    % utf package (embed msmincho and msgothic)  (S. Saito)
    %
    %unijmin-h   UniJIS-UTF16-H    msmincho.ttc
    %unijmin-v   UniJIS-UTF16-V    msmincho.ttc
    %unijgoth-h  UniJIS-UTF16-H    msgothic.ttc
    %unijgoth-v  UniJIS-UTF16-V    msgothic.ttc
    
    %cidmin-h    Identity-H        msmincho.ttc/AJ1
    %cidmin-v    Identity-V        msmincho.ttc/AJ1
    %cidgoth-h   Identity-H        msgothic.ttc/AJ1
    %cidgoth-v   Identity-V        msgothic.ttc/AJ1
    
    %hmr         H                 msmincho.ttc
    %hmrv        V                 msmincho.ttc
    %hkb         H                 msgothic.ttc
    %hkbv        V                 msgothic.ttc
    
    %
    % utf package (no embedding)  (S. Saito)
    %
    unijmin-h   UniJIS-UTF16-H    Ryumin-Light
    unijmin-v   UniJIS-UTF16-V    Ryumin-Light
    unijgoth-h  UniJIS-UTF16-H    GothicBBB-Medium
    unijgoth-v  UniJIS-UTF16-V    GothicBBB-Medium
    
    cidmin-h    Identity-H        Ryumin-Light
    cidmin-v    Identity-V        Ryumin-Light
    cidgoth-h   Identity-H        GothicBBB-Medium
    cidgoth-v   Identity-V        GothicBBB-Medium
    
    hmr         H                 Ryumin-Light
    hmrv        V                 Ryumin-Light
    hkb         H                 GothicBBB-Medium
    hkbv        V                 GothicBBB-Medium
    
  7. 「utf package (embed msmincho and msgothic) (S. Saito)」で設定されている部分の先頭の「%」を削除します。
    %
    % utf package (embed msmincho and msgothic)  (S. Saito)
    %
    unijmin-h   UniJIS-UTF16-H    msmincho.ttc
    unijmin-v   UniJIS-UTF16-V    msmincho.ttc
    unijgoth-h  UniJIS-UTF16-H    msgothic.ttc
    unijgoth-v  UniJIS-UTF16-V    msgothic.ttc
    
    cidmin-h    Identity-H        msmincho.ttc/AJ1
    cidmin-v    Identity-V        msmincho.ttc/AJ1
    cidgoth-h   Identity-H        msgothic.ttc/AJ1
    cidgoth-v   Identity-V        msgothic.ttc/AJ1
    
    hmr         H                 msmincho.ttc
    hmrv        V                 msmincho.ttc
    hkb         H                 msgothic.ttc
    hkbv        V                 msgothic.ttc
    
  8. 「utf package (no embedding) (S. Saito)」で設定されている部分の先頭に「%」を追加します。
    %
    % utf package (no embedding)  (S. Saito)
    %
    %unijmin-h   UniJIS-UTF16-H    Ryumin-Light
    %unijmin-v   UniJIS-UTF16-V    Ryumin-Light
    %unijgoth-h  UniJIS-UTF16-H    GothicBBB-Medium
    %unijgoth-v  UniJIS-UTF16-V    GothicBBB-Medium
    
    %cidmin-h    Identity-H        Ryumin-Light
    %cidmin-v    Identity-V        Ryumin-Light
    %cidgoth-h   Identity-H        GothicBBB-Medium
    %cidgoth-v   Identity-V        GothicBBB-Medium
    
    %hmr         H                 Ryumin-Light
    %hmrv        V                 Ryumin-Light
    %hkb         H                 GothicBBB-Medium
    %hkbv        V                 GothicBBB-Medium
    
  9. ファイルの最後に以下の4行を追加します。
    hminr-h      H                  msmincho.ttc
    hminr-v      V                  msmincho.ttc
    hgothr-h     H                  msgothic.ttc
    hgothr-v     V                  msgothic.ttc
    
  10. 最後にファイルを上書き保存して,エディタを終了します。

次は,インストールしたソフトウェアの動作確認を行います。

1.3.8 動作確認

最後に動作確認を行います。もし,うまくいかなければ,パスの設定や各種設定ファイルに誤りがないかどうか確認してください。あるいは,インストールしたプログラムをすべて削除して,もう一度インストールを試みてください。

  1. 「C¥pTeX¥share¥texworks」フォルダ内のプログラム「TeXworks.exe」を起動します。「TeXworks」は,TeXファイルの作成からPDFの作成までを一連の操作でできる統合環境です。このプログラムへのショートカットをデスクトップに作成しておくと後々便利です。
  2. 以下のテスト文書を入力します。なお,記号「\」は、Windowsでは,記号「¥」になります。
    \documentclass[a4,10pt]{jsarticle}
    \title{テスト文章}
    \author{HITP 広島工業大学専門学校}
    \begin{document}
    \maketitle
    \section{最初の章}
    テスト文章です。
    \section{2番目の章}
    LaTeX で作成しました。
    \end{document}
    
  3. TeXworksの左上が「pdfpLaTeX」になっていることを確認して,その左側の丸い緑の矢印アイコン「」をクリックします。
  4. このときファイルを保存していなければ,「ファイル保存ダイアログ」が表示されるので,適当なファイル名(ファイル名は英数字のみを使用するようにし,漢字を使用しないようにします。)を付けて保存します。
  5. 正常に動作すれば,以下のようなPDFファイルが表示されます。

さあ,LaTeXの導入はうまくいきましたか?もし,うまくいかなければ,「LaTeX2e美文書作成入門」の著者である奥村先生のサイトを参照してください。インストール方法が詳しく述べられています。

(C)Copyright 2010 HIROTAKA.YAMASHITA. HITP 広島工業大学専門学校. All Rights Reserved.